誰だろうと5回程悩む
 
 
 
 
 
04 俺の事が好きだと噂になっている人
 
 
 
 
 
 
「跡部の事?好きだよ?大好き!優しいし、あったかいし、強いし、とにかくすげーんだぜっ!」
 
「嫌みったらしーんだよな。ガミガミうるせーし。体力ないなんてわかってんだよっ!そ、そりゃすげー奴だってのはわかってるぜ。お、俺の為だって事もな。あいつ、口だけじゃねーし。何だっけ?ゆ、ゆーえーと・・・そうそうそれそれ。『有言実行』って奴?あいつ、一言口挟まなきゃ気が済まない奴だからよー。べ、別に嫌いじゃないぜ?」
 
「激ムカつく。いつも馬鹿にしやがって。あ?実際馬鹿だって?悪かったな!どうせいつも赤点ギリギリだ。跡部の世話になってっよ!!ったくたまには俺にも頼れっつの。ま、素直なあいつは結構好きだぜ?そんなん、滅多にどころか皆無だけどな」
 
「尊敬してますっ!え?好きか嫌いか?そ、そんなおこがましい事・・・・・・え?つまり嫌いなのかって?ち、違いますよっ!大好きですっ!!」
 
「―――ウス。・・・・・・好き・・・・です」
 
「下克上です。―――――嫌いになれたら、良かったんですけどね」
 
「はぁ?何暇な事しとんの?好きか嫌いかやて?決まっとるやん。あないおもろい奴他に居らんで?退屈せんわ。めっちゃ、好きやな」
 
 
 
「と、まあそんなわけでね。校内アンケートを取ってみたんだ。やーさすがは跡部。票が集まる集まる」
「・・・・・・・・・・・・」
「やるねー」と笑む滝の顔を跡部はじろりと睨んだ。しかしその鋭い眼光も、生憎と効果ない。
「――てめぇ、何、人をダシにして遊んでやがる」
「やあ、新聞部に協力頼まれちゃってさー。あそこまで頼られちゃうと断り辛いよね。で、てっとりばやく跡部様に御出馬頂いたわけなんだ。あ、秘蔵の写真もサービス放出したよ」
「・・・・・・萩之介」
「なに?」
 さらりととんでもない事を言い切ってくれた相手に、跡部のこめかみがひくつく。押し殺した声といい、冴え渡るを通り越し、冷え切った眼光をものともしない滝というのは、柔和な外見に似合わぬ滝の豪胆さを示している。
「肖像権、知ってるか?」
「もちろん。でもそれ跡部にはないよね」
「・・・・・・・・・・・・・」
 さらりと当然の如く言い切られた言葉に跡部は黙り込んだ。確かに跡部は常日頃より、隠し撮りの写真等がそこかしこに出回っている状態で、今更肖像権どうのと言っても今更な感がある。
「――ち、どうせボロクソ言われてんだろ」
「跡部って自分を知らないよね。うち(氷帝)の跡部様傾倒ぶりを再確認というか、たっぷり再認識させられただけだよ?ちなみにテニス部レギュで跡部が好きだって言ったの誰だと思う?」
「ああ?・・・・・・樺地の奴はそういう事は口にしねーよな。岳人はどうせ文句ばっか抜かしやがったろ。宍戸の奴もな。激ムカつくとか言ってんじゃねぇ?まぁ、日吉はありえねぇ。あとはせいぜいジローか?」
「あははー近いけど、外れー。ぜ・ん・い・ん」
「アーン?」
「だから全員、だって。俺達、み―んな、跡部が大好きだから」
「・・・・・・・・・・・・」
 
 滝の深い笑みに、跡部はふいと顔を背けた。
 
 
 
2006年6月
 
 
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