3.学校は車で行きますか?どうなされますか?
 
 
 
「学校は車で行きますか?どうなされますか?」
 
 
「歩く」
「かしこまりました」
 即答する跡部に本日も運転手の仕事は無しと決まった。跡部は基本的には徒歩で登校している。 天候があまりに崩れまくった場合や、急場の用がある場合は例外として乗り込む事もあるが。
 が、そんな跡部の為に跡部家には専用のお抱え運転手が存在する。跡取り息子が大事というのは勿論当然の理由だが、その真の意味は過保護からではなく防犯の為だ。
 跡部家の一人息子ともなれば一部の輩に大変な価値がある。懸念が洒落にならなかった一時期などは跡部がどう抗おうと車での通学を余儀なくされたものだ。現在にした所でもし樺地の存在なくば、徒歩での登校に難色を示されるのも間違いなかった。
 一通りの護身術は会得しているし、危急の際の対応も心得ている。それでも周囲がそう来るのは、それだけ大切にされているという事で、そういった心遣いを無用と言い切れるものではない。
 だが、毎日毎晩車での送り迎えを享受するのは跡部の矜持に反する事だ。それに日頃寡黙な樺地が、この二人で登校する時間を大事に思っている節がある。会話が弾むわけでもないが、そうして二人肩を並べて歩く事は跡部も嫌いではなかった。





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