信じて間違いなんかなかった。
トレーニング方法も、プレイスタイルも、パートナーについても、その多くは跡部の助言を受け入れた形だ。
もともと、考えるのが苦手ってのもあんだけどよ。
跡部の言う事聞いてりゃ、間違いねーし。
モーモク的なシンコーって奴?そんなんじゃ、ねーけど。
跡部は友達だぜ?偉そうだし傲慢だし厳しいしおっかないけど・・・・友達なんだ。
あの時。
『俺達は・・・・あいつに繋げなきゃなんねーんだっ!』
ボロボロになった宍戸の叫びに、ガツンとやられた。
今にも倒れそうな癖に、目だけはギラギラ闘志に満ちてた。
宍戸と鳳のペアが負けたら、勝敗はもうそこで完全に決まっちまってたんだ。
俺達――日吉とのダブルス2ペアが負けちまってたからな。
俺は、あいつに何を残せたんだろう。
甘えて、頼って、寄りかかって、おぶさって。
重かっただけだよなー。
最後の最後の勝負だったってのによ、跡部に勝ちを渡す事ができなかった。
侑士とのペアん時も駄目だった。宍戸達が出張ってくるまで、氷帝最強ダブルスだったのにな。
力いっぱい試合した。後悔なんかない。持てる力の全てを出し切った。
だけど・・・・負けちまった。
あーあ。勝って、褒めて貰いたかったよな。
勝つとさ、全然嬉しそうな顔じゃない癖に、喜んでんだよ。
ぽん、と叩いてくる背中の感触が、すっげぇ好きだった。
跡部、ごめん。
その一言も、実はまだ口に出せていない。
「向日」
「あー・・・・跡部、おはよ」
ぼーっと廊下を歩いていたら、丸めたノートでぽんと頭を叩かれた。
脳細胞、死んじまうじゃん。跡部と違って、俺の方はこれ以上死んだら大変なんだぜ。
「HAPPY BIRTHDAY」
「―――え?」
その言葉を頭で理解するまで、少しばかり時間がいった。
そーいや、今日は俺の誕生日・・・・・・だったっけ。
朝は遅刻ぎりぎりで駆け込んできたし、その後もばたばた忙しかったから、友達とまともにゆっくり話していない。
そうでなければ、挨拶代わりにでも「おめでとう」とか言われてただろうけどな。ま、今日初めての祝いの言葉が跡部からっては、悪くない気分だけどよ。
「ひとつ年食ったんだから、少しは落ち着けよ、お兄ちゃん」
「跡部みてーに可愛くねー弟なんかいらねーよ!」
「くっくっく・・・・」
悪戯っぽく笑う跡部の笑み。明るい蒼の目を隠していた綺麗な髪は今はない。跡部の今の顔は、どんな表情も今までより露になっていた。
似合うし、格好良いんだけど・・・・やっぱり気にいらねー。早く伸びねーかな、と思う。
「じゃぁな」
「あ、うん。―――プレゼント、ありがと」
「さっさとしまえよ。似非眼鏡あたりに見られたら煩ぇぜ?」
「そ、だな。・・・・俺、いいのかな・・・・」
「向日」
「貰ってばかり、だから」
「ばーか。充分、返して、貰ってる。でなけりゃ祝わねぇよ」
「・・・・・・・・・・」
跡部の顔はすっげぇ優しくて・・・・・・・クソクソ、抱きつきたくなっちまった。
この時の跡部の笑顔が・・・・その後貰ったどのプレゼントよりも・・・・一番嬉しかった。
岳人はぴば文