「新たな時代に誘われて、セーラーウラヌス華麗に見参」
神々しくも輝かしい光を背に受けて、艶やかに笑みを浮かべながら決めのポーズを決めるセーラー戦士。金茶の髪が風になびき光を孕む。スラリと伸びやかな足が、ヒダを揺らすスカートから惜しげもなく晒されていた。
「新たな時代に誘われて、セーラーネプチューン優雅に見参」
威圧するかのような力を秘めた静かな瞳。緩いウェーブを描く肩口までの髪を梳くかのように絡めた指が、柔らかな笑みを浮かべた口元に充てられた。こちらも同様、翻るスカートから綺麗に引き締まった長い足を晒す。
二人並ぶと輝かしいまでの優雅さと華麗さが高雅な雰囲気と共に辺りを支配した。ひとつ間違えばお笑いにしか成り得ない、セーラー服(しかもミニスカ)というアイテムを見事に着こなすのは、跡部景吾と幸村精市の二人であった。
「も、萌え・・っ!!」
美々しくも麗しきセーラーコンビの二人を前に、似非関西人との呼び名も高い忍足が鼻の下を抑えて悶えていた。
「氷帝の忍足とか言ったか。た、たるんどるっ!」
「萌えは萌えやん。あんたも素直に『ええ』言うたらどうなんや?」
「し、痴れ者がっ!何を破廉恥な事を抜かしとるっ!たるみきっとるぞっ!」
「そない顔赤くして言うてもなぁ・・・・」
すでに隠す所もないのか、オープンな忍足と、頭の固さは骨董物な筋金入りの真田との間に口論めいた掛け合いが始まるが、完全無敵に真田の方が敗色濃厚である。
「ははははは。真田はむっつりだからなぁ」
「一応フォローしてやれ。仲間なんだしよ」
無駄に爽やかな笑い声を立てながら、さらりと毒を放つ幸村の脇で跡部が僅かに同情めいた言葉を発する。が、幸村の「事実は事実だからね。フォローのし様がないさ」の言葉に「――そーかよ」と、再度の説得は諦めたようだった。どちらにしても、跡部に真田を助ける義理などない。
「ふむ。二人とも似合うな」
「―――手塚。てめぇかよ」
ぼそっと抑揚の無い口調で背後に立った手塚に跡部が実に嫌そうな視線を向ける。その手塚の格好はといえば、どこぞの怪盗もかくやな怪し気な黒いマントをたなびかせ、内に着込むはタキシード。トレードマークの眼鏡の代わりにこれまた胡散臭い仮面をつけた、いわゆるタキシード仮面様のいでたちなのだ。
「ミュージカル繋がりだな。城○某がタキシード仮面をやっていたと聞く」
「そーかよ」
満更でもない様子の手塚から、跡部は一歩身をひいた。
「何故離れるんだ?」
「・・・別に」
「見惚れたか?」
「んなわけねーだろーがっ!てめーのイカレっぷりに背筋が痒くなんだよっ!」
「照れる事はない」
「人の話を聞けっ!」
本気で嫌がっている跡部をよそにタキシード仮面扮する手塚は跡部を満足気に見やる。その視線に居心地の悪さを感じだ跡部は、更に半歩引き手塚から距離をとった。
「・・・・んだよ」
「中々良いものだと思ってな」
「アァ?」
「タキシード仮面といえばエンディミオン。つまりは王だ。跡部に傅かれる立場というのも新鮮だ」
「てめぇ」
「はいはいはい。そこまでね」
獰猛な唸り声を上げる跡部と、面憎いまでに悠然とした笑みを浮かべる手塚との間に分け入ったのはそれまで傍観者に徹していた幸村だった。常と変わらず優し気な笑みを浮かべてはいるが、その瞳は手塚を牽制するかのように鋭さを秘め、内だ海の如く穏やかであるとは言いがたい。
「手塚がタキシード仮面だというのならば、お相手はセーラ○ーンだ。浮気は良くないな」
「・・・・所詮は芝居だ。だが、セーラー○ーン役は誰が?」
「決まっていない」
「ツインテールとなると長髪時の宍戸か・・・・伊武あたりか?」
「あの二人ではインパクトにかける」
「――ふ。何無駄な論争してやがる」
真剣な面持ちで話し合う手塚と幸村の二人に跡部が得意気な笑みを向けた。
「あてがあるのか?」
「あてだぁ?んなモン決まってんだろーが。樺地だ」
「樺地君だと?何を言っているんだ跡部。彼では団子が作れないだろう」
「セーラー○ーンといえば、お団子頭だからね」
「はっ!団子なんざ、後付けで構わねぇよ。それより一番大事な事があんだろーが」
「それは?」
「この俺様が可愛がる奴といったら、樺地以外にゃありえねぇ。だから樺地で決まりなんだよ」
「そう来たか」
「跡部がいいのなら構わないけどね」
高らかに笑い声を上げる跡部を幸村が支持。こうなれば逆らえる者など居ないのも同然。「だが、樺地君にお団子頭は」と呟く手塚を他所にセーラ○ーン扮する樺地を見やった跡部は御満悦といった表情で「可愛いぜ、樺地」と甘く囁くのだった。
Wパロ。 「セーラー○ーン」