さく、さく・・・・・・・
雪で覆われた白銀の世界に足跡をつける。
踏みしめた体重の分だけしっかりと、雪の上に重しをつけてへこみを作る。
1歩、2歩と歩むたびに増えてゆく足跡。
10歩程進み、ぴたりと足を止めた。
ゆっくりと、自分の足跡の上を辿り元の位置へと戻る。
体を斜めに方向転換し、先程とは少しばかり離れた位置から再び歩き始めた。
少しだけ、前回よりも重く踏みしめて再び足跡を作ってゆく。
1歩、2歩。同じ歩数だけ、進んだ。
ぴたりと10歩目で足を止め、ちらりと先に作った足跡へ視線を走らせる。
ちらちらと降り始めた雪が、薄っすらとその足跡へと舞い降りてゆく。
後ろ足で、再び戻る。
起点位置まで戻ると、今度は確認する事なく真っ白な未踏の方向へと進んでいった。
さく、さく、さく、さく・・・・・・
10歩目の足を下ろした時点で一瞬だけ足を止め、すぐに振り切るように歩みを再開した。
ざくざくざくと、先程までのゆっくりとした歩みを振り切るように前だけを見て進んだ。
ざっと風が拭きつけ、雪を撒き散らす。
腕で視界を覆い、直撃を避けた。
「・・・・・・邪魔しないでよ」
自分の道筋を邪魔するかのような風に文句を言う。
振り払うように手を振って、風を切り分けるように歩き出した。
背後に残された足跡。
二人分の足跡。
自分はこの先を進んでいくのだ。
わかっている。
これは、ただの儀式。
踏みしめた足跡は、記憶の中のあの人達よりもまだまだ小さい。
何れは、追い抜くのだろう。
自分が生きていく事で。成長する事で。
それでも。
自分の後ろにはあの人達が居る。
あの人達の足跡がある。
その先を歩いていけるのは・・・・・・自分だけ。
「――――――行って、きます」
唇を噛み締めるようにして呟く。
ひゅぅと拭いた風が―――
「行ってきな」
「油断せずに行け」
二人の声を届けてくれた。
(二人分の足跡を振り返って)