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散りばめられた |
氷帝学園の名を聞くと、青春学園の仲間達は大抵目の色が変わる。彼等は自分達にとって、一番よくわかる形の敵であり、ライバルであったのかもしれない。
跡部景吾の名を聞くと、青春学園の仲間達は大抵顔を顰める。程度はそれぞれであるけれど、集団で居る時程その反応は顕著だ。
問えば、それぞれに最もそうな理由を挙げてくる。
曰く、何かにつけて偉そうだ、と。
曰く、態度が悪くて柄が悪い、と。
曰く、ただ単に反りが合わない、と。
曰く、派手好きでパフォーマンスじみた所が気に入らない、と。
曰く、金持ちで顔が良くてテニスも強いなんて許せない、と。
曰く、喧嘩越しで挑発してくるのは向こうだ、と。
曰く、自分達の部長を―――手塚を傷つけたからだ――――と。
並べていくと、青春学園のメンバー達は跡部の事を毛嫌いしているように見えるし聞こえるだろう。
だが、それがある一面でしかない事を手塚は知っている。
例えば大石などは、元々他人を嫌うという事があまりない奴だけれども、氷帝学園に訪れた際に練習風景を見た時、「――さすが、200名もを掌握する事はある」といたく関心していた。
例えば乾などは、基本的に人をデータという形態で捉えがちではあるけれど、それはそのまま個々に対する興味度にも比例しており、跡部に関する情報などは個人というより下手をすると一学園の情報量に価したりする。
例えば不二などは、温和な態度と柔らかな笑みで誰に対してもソツなく平等に接しているように見えるけれども、かなりな所人の好き嫌いも激しく相手によって手厳しい態度も取るわけだが、跡部に対してはどう見ても儀礼じゃない。
例えば越前などは、唯我独尊と評され目上の者だろうが何だろうが生意気で挑戦的な態度を取るものだが、跡部に対するあの拘りぶりは本人気づいていないかもしれないが、相当なものだ。
例えば桃城などは、何度か衝突したという事でいつか必ず負かしてやるなどと息巻いてはいるのだが、跡部の事を語る際に自然と表れている敬意と憧憬は見る者から見れば隠してないも同然だ。
例えば
例えば
散りばめられたピースを当てはめていくと。
青春学園のメンバー達はそれぞれが・・・・・・・・・・・・・・・・・・跡部景吾の事を好んでいるのだ。
それぞれが、それぞれの形であるけれど。
「――――跡部に一言、言っておきたいんだが」
「んだよ」
呼び止めてかけた言葉に、跡部は高慢そうな笑みはそのままに、「聞いてやるから言ってみな」・・・・と、目線で促してきた。
九州の地より戻ったばかり。その足で全国大会の抽選会場に来た折の事である。
「あまり、他人を挑発するのは止めた方が良い」
つい先程も、牧ノ藤学院の門脇に対して、相手を煽るような挑発的な物言いを放っていた。
気にも止めていないそぶりを通した手塚であるが、視界の隅でその光景はしっかり捉えていた。
あの場においては、喧嘩に発展するような事はなかったものの、相手によっては堪えの効かない者も多くいる。跡部の態度は、そういう相手の理性を焼き切るのに充分であろうと思える。
「うるせーよ。勝手だろ」
しかしながら、お前の気にする事じゃねえ、とばかりに跡部は手塚の忠告を聞く気などないようだ。
手塚は嘆息すると、跡部の正面に向き直り、言葉を継ぐ。
「それと」
「アーン?」
「あまり、人を垂らしこむな」
「・・・・・・・・・・・・・」
深く、実感を込めて言ったのだが、跡部はまじまじと手塚を「何だこの生物・・・・?」という目で見据えた後。
「一言じゃねぇだろ」
そう言い切り、立去った。
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