そつきめがみ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 いつだって突然なんだ、あいつは。
 
「じゃあ、明日な」
 
 綺麗な笑顔を残して去って行った真っ直ぐな背中。
 見慣れた筈であるのに見惚れてしまい、気付いた時には50メートルは離れていた。
 知らず浮かぶ微笑は・・・・自分が明日を待ち望むもので・・・・遠足を待ち望む気分というものを、知った気もする。
 
 
 
 その日が永遠にこないものなんて・・・・・・・・
 
 
 
 考えた事もなかった。
 
 
 
 
 
 
「ええやんか」
「―――何がいいというんだ」
「最後の記憶が極上の笑みなんやろ?思い出すたび笑うとるやんか。俺なんかな、青筋立てとったで」
「それは自業自得だろう」
「そうやね」
「・・・・・・・・」
 
 ふっと笑う忍足の表情は、寂しさの隠しきれぬもので、偽れぬ本音というものを手塚にすら読み取らせてしまう。
 氷帝の彼らの仲の良さを知らぬわけではない。跡部を軸として、彼等は常に笑っていた。とても楽しそうに、笑っていた。
 
「ジローがな、泣きよんのや。寝ぼけて夢うつつに聞いた声が、最後やって」
「・・・・・・・・」
「岳人は怒っとるな。樺地はあかん。何も考えられんようや。宍戸は・・・・・・えらい静かやな。鳳は、サーブ打っとる。真面目やろ?延々とな、打ち続けとるんや。日吉は―――平気な顔しとるけど、一番堪えているのはあいつなんやろな」
「・・・・・・・・」
 
 だからどうしたと叫びたい。喚き散らしたい。
 理不尽さを抱えているのは、憤りを抱えているのはお前達だけではないと。
 
 
 ふっと緩い風が吹き二人の黒い髪を浮かせた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 うしろにいるよ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 声無き声は、二人の耳には届かない。
 
 
 
 
 
 
 
 
[ 2007.06.02 ]
 
207β様 配布お題より