何か大事なものが無い、そんな違和感があった
眩暈を誘う、夏の日の昼下がり。
ジージーと、乾いた蝉の鳴き声に首筋から汗がじっとりと伝う。
脳天から焼き尽くすような直射の光が、全身に茹だる熱を埋め込んでいく。
肩から背負う紐越しに、重みが薄い肉へと食い込む。
常に3種のラケットを持ち歩くのは習慣のようなもので、こんな時には己の律儀さを時に恨みたくもなる。
喉を干乾びさせる暑気と熱気。長いラリーの末に限界を超え、汗に滑る手でラケットを握り、絞り尽くされた体力を更に引き絞り立ち向かう接戦の場に比べれば幾程にも楽であろうに、終わり無き熱地獄の中でも彷徨っているかのような、虚無と倦怠感の中を迷い泳ぐかのように進む。
足元から湧き上がる、黒いタールが引き起こす熱の波がそうと感じさせるのか。
じりじりと首筋を焼く、容赦ない強紫外線の灼熱感が迷いを生み、惑わせているのか。
うまく、明瞭なる思考が働かない。正常なる判断力が失われている。
ただ惰性の如く、歩を進めるだけだった。
ふいに、肩を鉛の如く沈ませたが重みが消え失せる。
頭半分、いやそれ以上の等身差を持つ大柄な影が、跡部の体を熱射から遮るように傍らに立った。
そう。何かが、足りないと―――思っていた。
常に傍らに寄り添っていたこの存在が、足りなかったのだ。
雨の日も風の日も雪の日も。絶えず寄り添っていた、寡黙なこの後輩の存在が。
ビーッ!!!!
「――――――」
はっと、引き裂くようなクラクション音に曖昧だった意識が覚醒する。
バカヤローッ!と、口汚く罵り様に猛スピードで人一人、車一台ぎりぎり行き合うか否かの細い道を、流線型のフォルムを描くスポーツタイプの車が走り抜けていく。
トン、とふらつく体が道路脇の壁に背をつけさせた。恐怖ではない。轢き殺されたかもしれない危険も、何処か曖昧なガラス越しの出来事のように、実感を持たない。
握り締めた拳に力を込め、現実感を呼び戻す。他者の目があるなしに関わらず、放心した状態にある事など、跡部景吾の名が赦さない。
紐を掴み、絶え間なく肩に重みを課し続けてきたバッグを背負い直す。
木陰もなく、直射を遮る建物もなく。跡部の身に突き刺すような太陽光は変わらずその身を苛んでいた。
影はない。
差し出される腕はない。
振り向く先にその存在はない。
最初から存在していない。
当然の、事だった。
三日も前に、穏やかな表情で眠るように目を閉じた彼に花を捧げた。
常にそこに在ると錯覚していた、彼との突如の、そして永遠の別れの式において。
もう、居ない。
忘却の隅に追いやっていたわけではなかった。暑気のうねりが、思考を曖昧にさせていただけである。
己の愚かしいまでのめでたさに沸き起こる自嘲。取戻したなどとは――錯覚であり、ただの勘違い。
埋められる事なき喪失感。抱え込んでしまった空虚なる穴。
この疼くような欠乏感を伴う違和感を――消し去る事も――忘れさる事も――生涯かなわぬであろう。
( 2006.06.22 )
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日に日に全身包帯の人が増えている
廊下を行きかう視線に、ねっとりとした泥濘のような重さを感じるようになったのはいつの事からだろう。
ごく近しい日に気づいたような気がするし、無意識下において、随分と前から感知していたような気もする。
生き生きと溌剌とした生気を放ち、賞賛と感嘆の瞳を持ってこちらを見ていた者が、今では興味の片鱗すらすら持たぬかのように、無機物を見るかのような目を持って通り過ぎる事が少なくなくなった。
最初は、氷帝学園の名を背負い全国大会へと出場したテニス部が、二度青春学園へと敗北を喫した事への落胆から来るものかもしれない、とも思った。だが次第に、何かがおかしいと違和感を感じるようになった。
初めにその視線に気づいたのは、新学期が始まって半月も過ぎてからだろうか。
だが、違うという声も、内から沸きあがってくる。もっと前からその徴候はあったのかもしれない。始業式の挨拶の折に、壇上から見下ろした生徒達の視線の中には、この違和感が些少ながら紛れてはいなかったか。
夏休みを満喫しきった為の燃え尽きかと、自分達の年齢を考えればそれも仕方ない事かと深くは注意しなかった。体は慣れるものであるし、授業が始まれば学業主体の生活に否応が無く戻されるものなのだから。
氷帝学園はエスカレーター式であるので、内部生の殆どはそのまま高等部へと上がる。三年生だからといってあくせく必死になっての受験勉強など必要ではない。だから、少しばかり羽目を外した者が数名居るのだろうと、その程度の事だと考えていた。ただ、日を追うにつれ、無気力じみた生徒が多くなり、時にはそれは教師にも及び、また引継ぎの為に顔を出したテニス部の中でもそういった顔を見かけるようになり、臓物をせり上げるような嫌な感覚が、みぞおちの辺りに溜まっていくような気がした。
暑気あたりもあるかもしれない。テニス部の敗北という事実の影響もあるかもしれない。ただ単に、微妙な年齢という事もある。だが、それにしても嫌な感じは日々増すばかりであって、いつしか跡部の精神もぴりぴりとささくれだった物となっていく。
軽蔑の視線というわけではない。ただ単に無関心であるのだ。受け答えはする。何かを頼めばきちんとこなす。学校を休むわけでもない。テニス部に限らず、他の部も普通に活動していた。だが、活気というものがそぎ落とされたかのように、消え失せている。
違和感は、他にもあった。姿勢の悪い者が増えている。まだ、うだるような暑気は通り過ぎたけれど、残暑の厳しい季節であるというのに、袖まですっぽりと覆う長袖のシャツを着込む者が少なくなかった。
ある日、そういった輩の袖口や襟元から覗く包帯。怪我をしたのか、という憐れみも、一人二人、次第に数えるのを止める程の数に至っては、ただの偶然では済まされない。そして、その怪我は癒える事もなく、巻かれた包帯の面積が広がっていく。薄い汗染みのような汚れが、次第に黒ずみすえた臭いを放つ。明らかに取り替えられていないソレは、清潔感など何処にもなく、校内には至る所で鼻をつまみたくなる状況に悩まされる事が多くなった。
残暑とはいえ、夏の暑気を引きずる季節であるのも具合が悪かった。汗と垢が混じりあい、鬩ぎ合う臭気。氷帝学園には良家の子弟が多く通う。多くの運動部にはシャワー室も完備しており、同年代の者達と比べても身なりに気を使う、清潔感のある者が多かった。
だが、それも今は遠い昔の事であるかのように、現在の実情からはかけ離れている。一体、何が起こったのであろうか。何がこの変化をもたらしたのだろうか。
表層のみは、穏やかで代わり映えのない学校生活の中で、跡部は次第に追い詰められつつあった。
昨日まで見知っていた者達が、今日には知らぬ者へと変化していく。跡部のようにインサイトとも呼ばれる洞察力に長けた者でなければ気づく事もない、些細なズレとも呼べる違和感であったが、跡部には彼等が別の生物になったかのように見えていた。
汚染されていく。学園が、何かに覆いつくされていく。生徒達が、教師達が、すり替えられていく。それを防ぐ手段など、何も思いつかない。
サリと、枝と草を踏み分けて、中等部に入学以来幼馴染の隠れ場所となっている木陰の方へと足を踏み出した。夏休みの間に育つきった草の群れの中に紛れ、いつものように眠りこんでいる幼馴染の足が見える。
「ジロー、起きろ」
「―――ああ、跡部。起こしに来てくれたんだ。ありがとう」
「・・・・・・・・・・・・」
まるで台本を読み上げたかのような平坦な口調。
ぐずる事なくさっさと起き上がり、即座に動きだしたジローに寝起きのハイテンションさはない。
するりと跡部の脇を擦り抜けるようにして、校舎へと向かジローから、嗅ぎ慣れてきた臭気が一瞬流れてきた。緩く着込んだシャツから覗く、元は白かったであろう包帯が巻かれているのが見えた。
嗚呼。自分は幼馴染を永遠に喪ってしまったのだ――――
跡部はその瞬間、はっきりと認識した。
( 2006.06.23 )
※モチーフ : ハインライン [ 人形使い ]
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合わせ鏡の中
望むのならば何でも叶えてやろうと、そう思い切れるがぐらいの感情が彼へと向いていたのは確かだ。
それは恋愛感情ではない。過剰なる友情というわけでもない。敢えて分類するならば、比類無き実力を兼ねそえた幸村精市というテニスプレイヤーの才能が惜しかった――そこがポイントだっただろう。
一人でもライバルが潰れるのが良いなどと、思う理由の根拠が理解できない。ネット越し対峙すれば、相手の弱点を突き、叩き潰す戦法をも取るだろう。だが、それはあくまでゲームメイクの一つ方法である。強い奴が居る事に、高揚感こそ感じるもので、勝ちたいという思いはあっても消えて欲しいと思う事などない。
幸村が倒れたという報を聞き、神を呪う言葉と共に思わず壁に拳を叩きつけた時、傍らに居た忍足が意外そうに目を見張った。その時は、部室においてミーティングの最中だったのだ。慌てて駆け込んできた下級生を叱責しようかとしたところで、思いもかけない言葉を告げられて絶句した後、跡部が反射的に取った行動がそれだった。
ガツと、音を立てて壁を叩きつけたが、痛みは感じなかった。その余裕が無かったという方が正しいかもしれない。
部員達を前には滅多に見せぬ動揺のままに、もう一度部室の壁を何かの敵の如く殴りつけようとしたのだが、それを差し止めたのは横から伸ばされた忍足の手の平だった。
何を――と怒鳴りつけようとして、薄い眼鏡のレンズ越しに覗く静かな瞳にすいと激情が引く。
その間、忍足の手は跡部の拳を掴んだままで、普段ならば振り払うであろうに、その時は僅かな感謝の気持ちをもってもういいと、それを取り外した。忍足が跡部の事を思い、止めたという事は疑う余地もない。冷えた頭で考えてみれば、力任せにそんな事をすれば、拳を痛めていたかもしれない。見れば、今も薄っすらと赤みを帯びている。
跡部は今まで、己の不注意をもって怪我などした者には、厳しい態度をとった。自己管理ができていないという事に腹立ちを感じるからだ。だが、この状態はどうだろう。全く自分もまだまだ甘いと、未熟さを痛感した。
呆気に取られた表情で二人を見つめていた仲間達に、「悪ぃ」と一言侘びを入れ、何事も無かったかのようにミーティングを再開した。その態度はいつも通りの平静さを保てていただろう。静かな口調で先程中断された続きから話を進めながら、他人づてで流れてくる情報に翻弄されてどうすると己を叱責した。後に自ら出向いて直接確認しようと、そう思い決めた。
見舞いという理由はあるものの、立海のガードは厳しかった。自分達の部長に跡部を会わせまいと立ちはだかったが、当の幸村の希望によって面会はあっさりと叶った。頻繁に会うとか、連絡を密にしているとかではないのだが、互いに友情めいたものを感じ始めている、そんな関係ではある。
多数の部員を抱えるテニス部の部長としての責務と、学園生活を取り仕切る生徒会長としての業務と、大きな大会の無い冬の時期には跡部家の跡取りとしての役割りを割り振られる事が多々あるので多忙を極める状態ではあったが、時間を工面して可能な限りは病院へと足を運んだ。ほぼ毎日のように顔を出しているらしい立海の連中に次いで、かなりの頻度で見舞いを続けていたのは跡部ぐらいであっただろう。
一進一退といった状況で好転する事もない幸村の病状に歯痒い思いを抱きはしたが、跡部に出来る事などなかった。せいぜい、暇を潰す為の本や、海外の試合のビデオなど、幸村が少しは喜びそうなものを差し入れるぐらいだ。ある日、「鏡が欲しい」との言葉を受けて、一瞬躊躇はしたものの、次の面会時にはそれを持参した。
入院した当初、幸村の病室に割れ物の類は一切無かった。花瓶すらも、チャチな造りのプラスチック製の安っぽい品で。食事に用いられるナイフやフォークに至るまで、刃物の類も一切取り払われていた。
患者が自暴自棄となり、暴挙に出るのを防ぐ為の措置であると、看護士経由で話を聞いた。幸村が類稀な才をもったテニスプレイヤーであるからこそ、注意を払っているのだと。彼等の言曰く、芸術家やスポーツに携わる者はナイーブであるから、という理由からだった。
彼等は幸村を知らない、と鼻で笑う事もできない。長く病室に閉じ込められ、自由を奪われた存在が変質していくのは、何もおかしい事ではない。例え、鋼のような精神力を持つ幸村精市とても、その例外とは言い切れないだろう。
だが、跡部が望みを伝えられたその時には、病室の様は幾分変わっていた。長の入院においても、不屈の精神で復活を諦めぬ幸村の胆力を、病院側も評価したのだろう。大輪の花が飾られた花瓶も陶製のものに変わっていたし、ベッドサイドに置かれたグラスは硝子製のものだ。そして、備え付けのテーブルの上には小さな卓上鏡もあった。
疑問を、抱かなかった、わけではない。だが、その曖昧なる疑問の種を、突き詰めるのは何故か躊躇われた。
希望の品を見舞い品を、幸村はありがとうと心からの礼を言ってきた。机の上の鏡を取ってくれないか?と頼まれたので、それを取って渡す。幸村は簡易な包みをがさがさと音を立ててその場で破り、じっと鏡に魅入るかのように二つの鏡を向かい合わせのようにして覗き込んだ。
薄く笑む幸村の笑みに、ぞくりと感じるものがあった。脅え、なのだろうか。何に?誰に?何故この時に?
帰る、という跡部の言葉に、幸村は今日は有り難う――と、どこか夢見心地に声をかけてきた。跡部はいや、と返して病室を後にする。関東大会を間近に控えた時期であったので、この後しばらくは来れねぇな、と思いながら、通い慣れた病院の門を潜った。
それからしばらくの時を経て―――跡部は立海テニス部部長幸村精市の、劇的な復活劇を耳にする。
( 2006.06.23 )
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地面から伸びた手が彼女のスカートを握った
「いらっしゃい、跡部君」
「―――どうも」
手塚家への訪問は何度かあったが、手塚の母彩菜に招かれてというのはこれが初めてだ。
しんと静まり返った家屋に家人は彩菜一人であると知る。中学生といえば身体的には大人に近くなっている。口さがない近所の主婦などに見られたら、問題ある状況であるかもしれない。もっとも昼下がりの情事的下世話な話題からは、果てしなく遠い人物ではあるのだが。
「食事の用意をしてあるの。食べていってくれる?」
「はい」
促されるままに食卓へと向かう。所狭しと並べられた料理の数々に跡部は思わず息を飲んだ。
「これは、すごいですね」
「はりきっちゃったわ」
「手塚の・・・・国光君の好物ばかり、ですね?」
「そう。跡部君に苦手なものはあるかしら?」
「いいえ。問題ありません。――頂きます」
手を合わせ、一品一品を深く味わうようにして箸をつけていく。高級料理店の一球料理という系統ではないが、どれも大層美味だった。素朴で、温かい。跡部の好きな味付けだ。
「この御馳走の理由を聞いても?」
「本当はね、国光のお嫁さんになる人に教えたかったの。だけどもう時間がないから・・・・跡部君は、これからも国光と仲良くしてくれるのでしょう?」
「彼が癇癪を起こさない限りは、でしょうか。しかし穏やかなお話ではないですね。まだそんなお年では――」
「期限が来てしまったの。すっかり忘れていたわ。幸せすぎて。時間が過ぎるのって本当に早いのね。国晴さんと添い遂げて、国光を授かって、跡部君にも会えて・・・・本当に幸せな日々だったわ」
「彩菜、さん」
過去形で語る彩菜に、穏やか過ぎる表情に、嫌なものを感じる。年齢よりも若く見えるとしても、それでも彩菜はまだまだ若い。先の人生などというのならば、祖父である国一などはどうなるというのか。だが、問題はそういう事ではないのだろう。
予感は、あった。親しさからいえば、手塚とは親友関係にあたり、長く苦楽を共に過ごしてきた大石の方がはるかに上だろう。手塚家にも何度か招かれた事があると聞く。だが、敢えて彩菜は跡部を選んだ。名指ししてきたのだ。それは一体何故か?
いつの事だったか、「跡部君は国光とは違う意味で、子供らしくない所があるわね」と言われた事があった。「大人社会へ早くから関わらなければならなかったからですよ」と跡部の方は軽く流したのだが。その時に「そう」と何処か寂し気に微笑んだ彩菜の表情は、それからしばらく脳裏に焼きついて離れなかった。
恐らくは、そのことこそが今日ここで跡部が呼ばれた理由であろう。友人としてではなく、息子のライバルとしてではなく、大人としての判断を求められている。
「私はね、旧家の生まれなのよ」
「手塚家も、どちらかといえば古い格式の方だと思いますが」
「もっともっと古い家よ。ここよりもずっと古い、家。子供の頃は、骨董品のような暮らしをしていたの」
あらかたの食事が済んだ頃、残り物を片付け、彩菜は跡部を庭先へと誘う。
太陽は低く落ち込み、夕陽が辺りを染める、赤みを帯びた視界。
「――20年も前の事かしら。お寺の境内で一人で遊んでいたの。同年代の子供は、周囲には全然居なかったから、大抵一人きりで遊んでいたのよ。歌を歌いながら鞠をついていると、突然強い風が吹いて、鞠を攫っていったわ。慌てて追いかけていくと、白い着物を着た女の人が立っていたの」
「・・・・・・・・・」
「青白い顔で、透けるような肌の色。本当に向こう側が透けて見えそうな程だった。怖くなって、走って逃げたかったのだけど、足が竦んで動かなかったの。その内、女の人がゆっくりと近づいてきたわ」
――――迎えに来た
五つの齢を重ねた子供。百の贄の最後の子供。お前で・・・・終わる・・・・・・お前の時間は、ここで終わるのだよ・・・・
「その子を離して!!まだ、幼い子なのよ!何も楽しい事も知らない、子供なの!連れていくのならば、代わりに私を連れていって!!」
―――そなたの寿命を・・・・・・・残り全てを、投げうつのか?
「私を代わりに!この子に、この子に時間を、与えてあげて!」
―――承知
「・・・・・・気づいたら、一人だったわ。暗くなってきていたので、家に帰ると、騒然としていて、大人たちがばたばたと動き廻っていたの。呆然としている間に、母はもう居ないのだと教えられて・・・・・・あの時の記憶は無かったのだけれど、お母さんは私の代わりに行っちゃったんだ・・・・という事だけはわかったわ」
ぽつりぽつりと彩菜の口から出た話は荒唐無稽と言って良いもので、到底信じられるような類のものではなかった。だが、跡部には薄っぺらな嘘など見極める洞察力がある。そして、彩菜が嘘をつくような人物でない事もよく知っていた。
「おかしいわね。ずっと埋もれていた記憶が、こんな風に蘇るなんて。朝目が覚めた時に、いきなり全てを思い出したの」
「彩菜、さん」
どう言葉を発して良いか悩む。気のせいですよ、などという下手な慰めは軽くかわされるだけであろう。当人が悟ってしまっている、それが理解できるが故に言葉を選べない。
「あの子に・・・国光にうまく話して貰えるかしら?そっと消えてしまおうかとか、手紙を置いていこうかとも思ったのだけれど。跡部君の言葉ならば、あの子は信じるわ」
「非難されるだけですよ。何故止めなかったのかと。そんな風に簡単に納得する必要などないでしょう。何か、ある筈です」
「もう、遅いわ」
ざっと、風が土ぼこりを巻き上げて立ち上る。
時がきた
時がきた
白い手が地面から幾つも幾つも湧き上がってくる。
ボコボコと、地面を埋め尽くすかのように白い手が宙をめがけて突き出され、何かを追い求めている。
ゆらゆらと揺れる白い手が向かうのは、庭先で穏やかに笑む女性のもとで。
胸の悪くなるような白い腕の海の中、中央に一人立つ彩菜の姿だけが浮き上がって見えた。
ざっと、輪を描くように収束されていく手と手と手。
その一つが、彼女の長めのスカートの端をがしと掴んだ。
「彩菜さんっ!!」
「・・・・・・・・・お願いね。伝えてちょうだい。幸せだったと。いつもあなたたちの幸福を望んでいると。――ありがとう、そして――ごめんなさい」
「――――――」
手と手が絡み合い、腕と腕が絡まり合い、無数の白い腕が交差して包み込むように覆い隠した。いつも静かに微笑んでいた、手塚の母、彩菜の姿を。
跡部は、靴を履かずに飛び出していた。素足に直に土の感触を感じるが、構う事ではない。
「待て!」
その叫びに、ゆらゆらと揺れる手の動きが止まる。まるで跡部の命令を聞いたかのように、それら全ては動きを停止していた。
「言葉が理解できんのか。ああ、彩菜さんのお袋さんと会話をしていたんだってな。都合が良い。二度は言わねぇ。その人を放しやがれ。・・・・戻せ」
有無を言わさぬ断言口調の跡部の言葉に戸惑いを感じるかの如く、ざわざわと白い手が揺れる。ゆっくりと、苛立ちを誘う程にゆるりとした動きではあったが、白い手の絡みが解き解れていった。隙間と隙間が次第に大きくなり、空間が広がっていく。白い手の群れは中心を円のようにぽっかりと空けた状態で、土の上に倒れる彩菜を囲むかのような状態になった。
王が来た
王の命だ
王の命ならば聞かねばならぬ
だが約定は如何とする
だが王の言葉だ
だが王の命令だ
ざわざわと、さざめくような声がどこからともなく聞こえてくる。
すぐさま倒れる彩菜に駆け寄ろうとした跡部だったが、周りの様子に一歩踏みとどまった。何故だか、跡部の言葉に従うような素振りをみせている。何が理由かはわからぬが、そういう事ならば、すべき事をするのみだ。
すうと、呼吸を整える為に息を吸い、腹の底に溜めて深く息を吐く。突発自体に翻弄されていた跡部であったが、これでかなりな所落ち着きを取戻した。
目の前に在る得体の知れない腕どもの事を意識の外に外す。自分が跡部景吾であるという自負は、いついかなる時にも行動の指針となる。
「―――俺が王だと言うのならば、王の言葉に従え。消え失せろ。二度と現れるな」
―――――承知
跡部の命令を受け、白い手の群れは、ざっと一瞬で全てが幻の如く、消えうせた。
「・・・・・・・・・・」
倒れる彩菜に駆け寄り、抱え起こす。そっと口元に手を翳すと、静かな呼吸が感じ取れた。首筋に手を当てて脈を探るが、規則正しく波打っている。ざっと見回した限り、目だった外傷も無いようだった。
足元に手を入れ、意識を喪った体を抱え上げると、跡部は悠然とした足取りで手塚家へと戻った。
( 2006.06.24 )
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※ TA
目の前の暗闇が笑う
終わったと思い捨てた夏が引き戻され、全国大会という晴れ舞台に参戦する事となった氷帝学園だが、青春学園との再戦を経て、二度目の敗退を味わう事となった。無様な真似を曝したとは思わない。全てをかなぐり捨てた状態において、望んだ大将戦。幾つかのアクシデントに見舞われたものの、勝ちを掴み取れなかったのは跡部の実力不足故だ。
誰も、責めはしなかった。けれども侘びを入れた。恐らく初めてだったろう。全部員を集めて、跡部は彼等に向かって頭を垂れた。
しんと静まり返るその場は空気が痛い程に張りつめ、罵倒も失望も嘲笑も、全て受け止めるつもりであった跡部に向けられたのは、揺ぎ無い信頼と尊敬の視線のみで。あの、常に逆らわずにはいられない態度で知られる反骨精神溢れる日吉ですらも、真っ直ぐな視線で跡部を射抜く。
その瞳には感謝と敬慕の情があるのみで。部員達は、「来年は必ず勝ちます。全国制覇をしてみせます」と誓ってくれた。「俺達は、跡部部長が作り上げた氷帝学園です」と、きっぱりと言い切られた言葉に不覚にも涙がせり上げてきそうになった。――当然、意志の力で抑えつけはしたが。
大会が終われば、関東大会の敗北後にそうしたように、三年生部員達は引退となる。持て余す時間に迷うという事はなかった。跡部にとって、時間はいつでも足りないものである。そんな中でも、全国大会のその後の展開・・・特に青春学園の行く末は、気にならない筈もなかった。
彼等は強かった。自分が作り上げた氷帝が2度の敗北という屈辱の結果となったのも、当然とは言わないがそうなるに足る底力を彼等は持っていた。運もあった。流れが彼等に味方した。それでも、結果は青春学園の勝利に終わり、氷帝学園の敗北に終わった。その事実は変わらない。
あの再度の決戦において跡部が得たものは何だろう。肩を肘を癒した手塚との再戦は叶わなかった。次代を担うらしい越前との戦いにおいては、得るというよりも、託したかった思いの方が強い気がする。果たして自分は伝える事ができたのだろうか。跡部にとって、『無我』という技は、どうあっても性に合わないとしか言えない。
最も、彼等にとっては「氷帝学園」など、何者かという所かもしれない。2度も打ち倒した相手に、優越感を抱きこそ、それ以上の感情など沸くだろうか。何より、元々青春学園のメンバー達は氷帝に、特に跡部に良い感情を抱いていない。そこに押して、手塚国光という彼等の部長の肩を壊したという事実が拍車をかけた。
ただし、その当人の手塚のみは、跡部に対して遺恨の類は抱いていないようであったが。真っ直ぐな気質の奴なのだろう。
「跡部」
「・・・・・・手塚、か。ひさびさ、だな?」
「ああ」
背後から声をかけられ、聞き覚えのある声に引っかかりを覚えつつ振向くとそこには青学部長の手塚国光の姿があった。
「てめぇから声をかけてくるなんざ、珍しいな」
「そんな事はない」
「そうか?試合会場なんかで声をかけても大抵無視されていたような記憶があるがな」
「その頃は、跡部という存在を意識していなかったからだろう」
「・・・・・・・・そうかよ」
しれっと言い放たれた言葉に鼻白むというよりは呆れた。それは返して、長らく跡部など視界に入っていなかったという事を告白しているようなものだ。まぁ、そんなもんだろうと納得する所はあるが。手塚という男は、跡部が見たところ、あまり他人に興味を示す男ではない。跡部が幾ら突っかかっていこうと、言葉も視線も全て素通りしているような感があった。その頃は、青春学園の仲間達とて実は視界に入っていないようなものではなかったのかと思う。ある意味人でなしだよな、と他者の注目を集めずにはいられない癖に、どこまでも素っ気無い手塚という男に抱いた空虚感をふと思い出すのだった。
「お前は今、時間が空いているのか?」
「アーン?緊急の用事はないぜ?」
「それならば、うちへ来るつもりはないか?」
「・・・・・・・・・・いいけどよ」
珍しい事が続く。手塚の方から声をかけてきたかと思えば、今度は家へのお誘い。それほどの親しみを抱いた関係ではなかった筈だが・・・部を引退した事で、人寂しさを感じるようになったのかもしれない。部長として多数の部員達を治めていた状況から、いきなり自分一人の時間を持つようになったのだ。跡部とて、僅かなりとも寂寥感を抱かなかったとは言わない。
手塚の家は純和風の、なかなか赴きのある造りだった。当然の事ながら、跡部の住まいに比べれば敷地も造りも格段に下と言えるのだろうが、それは比較対象が悪いだけだ。都内にあれ程の邸宅を持つのは、並大抵のレベルでは叶わぬ事だ。
「いい家だな」
「褒めてくれたのか」
「そう聞こえねぇってか?」
「いや。礼を言う。ありがとう」
「・・・・・・・・・・社交辞令だよ」
「そうか」
会話になっているのかいないのか。会話は通じているものの、真意は何やら隔たりがありすぎる。
そういえば、こいつとまともな会話が成り立った試しはねぇよな、と過去を思い起こしてみても友好的なシーンなどひとつたりとも上がってはこなかった。まぁ、当人同士納得していたので、お互い相手がどう返そうと、どう捉えようと構う事ではなかったといえばそれまでなのだが。
失敗したかと思う。テニスプレイヤーとしての手塚国光は評価している。跡部にとって唯一のライバルとして断言できる程だ。手塚側にそう認識されていなかろうと、構う事ではない。何れは思い知るさ・・・とそれだけの事である。あの、今なおこの手に感触を残す、関東大会での一戦において、手塚の自分を見る目に変化を感じたような気はするが。恐らく、今日このようにして招かれたのも、その表れだろう。
「お邪魔します」
「礼儀正しいな」
「基本だろ」
「そうか。ただ、今日この家には誰もいない」
「別に人が居ようと居なかろうと、そういう問題じゃねぇんだよ。基本だって言っただろ」
「そういうものか。つくづく俺は跡部を誤解していたようだな」
感心したように言われ、何とも言えぬ感情が沸きあがってくる。どうも、手塚の中での跡部の評価というものは今まで実に低かったらしい。まぁどうせそんなものだろうよ、と、傷つくものでもない。誤解は誤解のままに、嘲りは嘲りのままいに。跡部は基本相手が抱いた印象なるものを正すつもりはない。勝手にするがいい、とただそれだけの事なのだ。
「・・・・・・・・・・・おい」
「何だ?」
「これは、何の構図だよ」
「跡部の事を組み敷いている構図だな」
「何故、そういう事になる?」
「ベッドがここにあったからだ」
「するってぇと何か?てめぇはベッドがあれば、だれかれ構わず押し倒すってぇのか?」
「それは正しくはないな。跡部が居て、ベッドがあるから押し倒した。これで良いか?」
「ああそう。・・・・・・・・って納得するわきゃねぇだろうがっ!てめっ!何服の隙間から手を忍ばせてやがるっ!」
「お前の服は氷帝の制服もそうだが、隙間がありすぎると常に思っていた。まぁこういう際には都合が良いが」
「・・・・・・・っ、な、撫でまわすんじゃねぇっ!気色悪ぃだろうがっ!手塚ぁっっ!てめぇっ、変態だったのか?!」
「感度が良いな。いい事だ。変態とう言葉は聞こえが悪いな。だが、跡部に触れる事がそう意味するのならば、それもよかろう」
「開き直るんじゃねぇっ!―――ぁっ」
「この状態では逃げる事も叶わないだろう。観念したらどうだ?」
「・・・・・・・て、てめぇ・・・・・・・・・・っざ、けんなっ!」
かっと、視界が赤く染まる。危急の事態程、跡部は心が冷えるのが常であったが今この時ばかりは冷静さなどかなぐり捨てる。完全に頭に血が昇った。
抑えこまれた状態からは、確かに押しのける事は容易ではない。だが、体の一部、特に左足の自由が効いた。手加減なしで、思い切り蹴り上げる。次に、相手に余裕を与える間もなく、右の拳で思い切り顔面を殴りつけた。
蹴りの一撃で幾分体が浮いた所を、容赦なしの一発である。手塚の体を跡部は押しのける事ができた。吹き飛ばすという、形をもって。
「―――――」
「はっ、生憎だったな。俺様は立場上、狙われる事が多いからな。護身術の類は叩きこまれているし、いざという時の補助道具も常に持ち歩いている。まさか、こんな風に役立つとは思ってもみなかったがな」
「・・・・・・・・やってくれるな」
「アン?」
「加減は無用という事だな」
「―――――」
薄く笑う手塚の笑みの冷たさに、跡部は戦慄を覚えた。
きつく縛られた手の戒めは、渾身の力を込めても緩む事はない。むしろ反対に手首を引き締めるようにして、圧迫感を増していく。
「――くっ」
「暴れても無駄だ。どちらにしても、その紐はきつくなっていくだけだがな。先に浸した水も渇きかけている。跡を残したくなければ、それ以上暴れるな」
「・・・・・・・・用意周到な、事で・・・・てめぇ、最初から、そのつもりだったって、か」
「あの場でお前と会ったのは偶然だ」
「はっどの面下げて・・・・抜かすかよ・・・・」
「減らない口だな」
「・・・・・・んぅっ・・・・」
噛み付くように口付けられる。怒鳴りつけようとしたタイミングであったので、開きかけた口はやすやすと手塚の舌の侵入を許した。逃げ惑う舌を容赦なく捉え、絞り尽くすかのように吸い取られる。甘い睦みあいなどからは程遠い、捕食されるかのようだ。
手塚の手は跡部の肌の上を無遠慮に撫で回す。薄いシャツはすでに引き裂かれ、用途を為していない。鍛え上げている跡部であるので、筋力の上でも差があるとは思えぬ跡部であるのに、手塚の膂力は恐るべきもので、引き抜かれたズボンはベッドの下に落ち、下履きもない剥き出しの下半身は手塚のベッドのシーツの上で暴れていた。
ここまでくれば冗談ごとではすまない。手塚が本気である事は疑う余地もないのだが、一体何故このような状況になったのか、それだけは未だ跡部にもわからない事だった。
「・・・・・て、てめぇ・・・・一体、どういう、つもりで・・・・」
「どうもこうもない。この場において、する事などただ一つだろう?」
「・・・・はっ、てめぇが・・・・んな趣味もっていやがるなんざ・・・全く知らなかったぜ・・・・ん・・・・・・こ、んな所をよ、お袋さんにでも見られたら・・どうするつもり、なんだ・・・・?」
「生憎だが、そう都合よく邪魔は入らない。人払いをしてあるからな。当分誰も戻ってこない。まぁ、この場に居合わせたとて結果は同じだが」
「――――手塚?」
ぞくりと肌が粟立つ。
誰だ?この男は?手塚国光は何処へ消えた?
跡部は目の前に居る男が、全く見知らぬ生物であるかのように思えた。猛禽類の如く鋭い視線は、射抜くように跡部に注がれている。かつて見知った男の欠片すらも、感じ取る事ができない。
「脅えているのか」
「・・・・・・・誰がっ!てめぇ、まるで家主みたいな、言い草だな」
「ある意味ではそうだろうな。俺に逆らう者など此処には居ない」
暗い闇が笑う。跡部を飲み込み、喰らい尽くすがの如く。
「・・・・・・・・・てめぇは、誰だ?」
「手塚国光だ。お前の知る、青春学園中等部テニス部部長のな」
「何かが化けているとしか、思えねぇな」
「やはり、跡部は鋭い」
跡部の言葉を受けて手塚がふっと笑みを浮かべる。まるで正解だと言わんばかりに。
「何?」
「俺は、人を模している」
「・・・・・・・・・ふざけるな」
「ふざけてなどいない。誰にも見破られるとは、思ってもいなかったんだがな。まぁ、それがお前ならば良しとするが」
「はっ、何を・・・・触れるんじゃねぇっ!」
「往生際が悪い。それこそが、跡部なのかもしれないがな。お前は、俺に対して責任を取らなければならないんだ」
「今更、肩の恨み言かよ」
「いいや。あの試合に遺恨はない。むしろ、あの痛みを与えてくれた、あの熱さを教えてくれたお前だから、最後まで責任を取って貰おうと思う」
「・・・・・・・・・わけわかんねぇ」
「今まで、誰かに対して必要以上に関わる気になどならなかった。クラスメイト。チームメイト。対戦相手。所詮は通り過ぎていく者達だ。人という個体を認識するには至らなかった」
「・・・・・・・・・・・・」
「だが、お前は違う。お前だけは、違った。お前が教えたんだ。この俺に『感情』というものを。初めて、『負けたくない』と思った。負けて、『口惜しい』と思った。手を掲げられて、『離したくない』と思った。お前の姿を見かける度に、『引き戻したい』と思うようになった。全国大会での氷帝戦において、無理矢理にでもお前と当たろうかとも思ったぐらいだ」
「何を、今更」
「そうか?今更か?だが、今一度の試合ぐらいでは、満足できない事にも気づいたんだ。ならば、手に入れれば良い。俺にはその力がある。お前が逃れようとしても、逃さないだけの力がな。いっそ、喰らってしまおうかと、何度思った事か。跡部、知っているか?俺達の最大の愛情表現は、相手を喰らう事なんだ。その身を己が血に、肉に、体内に取り込み混ざりあうことこそが、至上の愛情表現だ」
「手塚、てめぇ・・・・」
ベッドに縛りつけられたまま、見上げるような形で手塚の姿を見る。見慣れた筈の姿が、ぶれる。手塚の殻を被った異形の者の姿が、2重写しのように跡部の目に映った。
「安心しろ。すぐには喰わん。勿体ないからな。だが、味見ぐらいは、しても良いだろう?」
「・・・・・・・・・・・・っ」
頚動脈に近い部位を噛み付かれる。じんと、疼くような痛みよりも、暗い闇の笑みへと、跡部は飲み込まれていった。
( 2006.06.25 )
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